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国指定重要文化財(建造物)

大照院鐘楼門

 霊椿山大照院は、初代萩藩主毛利秀就の菩提寺として、明暦2年(1656)に建立された臨済宗の寺院である。延享4年(1747)の火災で伽藍すべてを焼失したが、火災後すぐに再建工事が始められ、寛延3年(1750)に落成した伽藍が今の大照院である。
鐘楼門は、桁行7.04m、梁間4.00m、三間一戸二階二重門、入母屋造とし、一階正面中央に軒唐破風を付け、両側に回廊が接続する。屋根は本瓦葺とし、軸部は粽付円柱を貫、台輪で固め、組物は一階が実肘木付平三斗で、正面中央間に中備蟇股を入れ、二階が大斗肘木とする。軒は一、二階とも一軒疎垂木とし、内部は一階が床を土間四半敷、天井を鏡天井とし、二階が根太天井で中央に寛延2年(1749)萩藩鋳物師、郡司四郎左衛門信房(ぐんじしろうざえもんのぶふさ)の名鐘を吊る。

国指定重要文化財(建造物)

大照院本堂

 本堂は方丈風の仏堂で規模が大きく、桁行25.2m、梁間18.0mの一重入母屋造、屋根は綴屋根(しころやね)、桟瓦葺である。
 主室は前後に2列に並列した6室からなり正面と左右の3面に広縁を、そして4面に狭屋間として落縁を取り込むなど方丈形式の典型的な近世禅宗本堂建築である。建築年代の確実な遺稿で、規模が大きく意匠の整ったものとして貴重である。

国指定重要文化財(建造物)

大照院書院

 書院は、本堂と庫裏をつなぐ西後方に位置し、南側に3室、北側に3室を並べた主棟と、西突出部の座敷および茶室など4室2列を並べた北突出部からなっている。
 主棟は桁行11.8m、梁間9.8mで、屋根は主棟東側と北突出部北側が入母屋造、主棟と西落棟の西側は寄棟造、桟瓦葺である。西側突出部は桁行7.9m、梁間5.9m、北突出部は桁行13.5m、梁間7.0mである。
 主棟東側の入一間は畳廊下で、北は庫裏の広縁、南は本堂への渡廊下が接続し、主棟南側と西突出部にかけて3室が並んでいる。
 建築年代は、18世紀後半と思われるが、簡素ななかに品格のある造作がみられる傑作である。

国指定重要文化財(建造物)

大照院庫裏

 建物は桁行18.3m、梁間18.3mの広大なものである。屋根は切妻造本瓦葺妻入で南西面に庇がついている。
 江戸時代初期から中期に移るころの建築で、絵様彫刻によく時代の様相が現れている。庫裏としては県内随一の規模をもち、藩主の菩提寺にふさわしい風格を備えている。

国指定重要文化財(彫刻)

赤童子立像(あかどうじりゅうぞう)

 赤童子とは天孫降臨のときの使者として知られている天児屋根命で春日社の祭神の一つといわれている。赤童子については他にほとんど類例がなく、奈良県大和郡山市の植槻神社に赤童子の絵画(室町時代)があるくらいである。
本像は像高六十一.二センチ、ヒノキ材の寄木造で、玉眼に水晶が入った彩色像である。鎌倉時代末の作と考えられている。この像の特筆すべきことは、中国の宋朝様式が混入していることで、上衣の肩の曲線文の飾り、両襟の渦巻型円文などは宋朝様式の影響を示すものである。また、頭上の鋼製の宝冠は長い年月の間に失われて現存するものが少なく、制作当初のものが残っているのは珍重すべきことである。
躰は唐服をまとい、上腹部に帯をしている。左右に束ねた髪や袖口の反り、裳の上腹部あたりの厚ぼったい感じは鎌倉末期ごろの作といえる。

国指定史跡

萩藩主毛利家墓所

 大照院墓所は、萩藩初代藩主毛利秀就以下2代から12代までの偶数代の7藩主と夫人および一族と秀就に殉死した7藩主の墓52基などがあり、総面積5717.39uである。
墓の周囲には、玉垣22か所、鳥居7基、石燈籠600数基、石橋1架、参道の石畳などの石造物と墓所入口の小門1棟がある。
 これらの墓は、明治以後に移されたものや一部の新墓を除いて、いずれも花崗岩製の五輪塔形である。なかでも藩主夫妻の墓は高さ4.5mの大形である。鳥居や多数の石燈籠は、家臣をはじめゆかりの深い人びとが寄進したものである。

国指定重要文化財(建造物)

大照院経蔵

 この経蔵は、総塗込の土蔵造で桁行6.4m、梁間6.4m、屋根は宝形造桟瓦葺である。正面入口の上は切妻破風で、向かって左側には火燈窓、右側と後方にはおのおの桁行4m、梁間3.2mの脇室が外側に張り出して造られている。屋根はいずれも寄棟造桟瓦葺で、両脇に1か所ずつの格子窓が開いている。
 内部は四半敷瓦の方式を用い、中央に八角の輪蔵を備えている。以前は大般若経全部と大蔵経が収納してあったが、現在は本堂に移されている。
 創設当時の経蔵は、延享4年(1747)2月の火災で焼失したが、7代藩主重就は住職春林西堂などと力を尽くして宝暦5年(1755)に現在の経蔵を再建した。

県指定有形文化財(彫刻)

木造釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)(左)

木造義翁(ぎおう)和尚倚像(いぞう)(右)

萩市指定天然記念物

大照院の大フジ

 この大フジは野生のもので、シイ林の中にはい上がった巨茎が10本以上もあり、なかには、シイの幹から垂れ下がったものもある。そのうちの1茎は根元付近での周囲が2.14mもあり、高さはシイノキの樹冠に達していることから、約30mと推定される。
フジの天然記念物としては根株の大きいものもあるが、単茎としては山梨県富士吉田市の1.9m、静岡県豊田村の1.8mがあり、その他の県で天然記念物に指定されているものは1.5〜2.0mくらいが普通である。これらと比較しても大照院のものは遜色がなく、県下既知のもののうちで最大である。

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