議案第4号 2006年度一般会計予算は総額308億6600万円と前年比8%の減となっています。合併して1年たち、市長が自らの手で編成された実質初めての予算であり地域別でなく、統一的な予算となっています。
私はこの予算全てに反対するものではありません。
この308億円の中には、住民の暮らしを支える必要な事業がたくさん詰まっています。これを否定するものではありません。財政状況を後年度に悪化させる要因である普通建設事業は49億円と抑制され、健全財政運営への配慮が見て取れます。その中で新規事業には、田万川地域で望まれている地域ケーブルテレビの整備や大島および旧むつみ、福栄、川上、旭の4村での通信環境の改善が盛り込まれています。さらに、住民の生命と安全に大きく寄与する佐々並の消防分遣署建設事業があり、厳しい財政事情の中でも住民の暮らしや安全に配慮したものとして高く評価しています。
陶芸の村公園は行きづまり これ以上 投資する意味が無い
明治維新館建設中止 浦上記念館に萩焼展示施設施設
しかし、陶芸の村公園整備事業に見られるように、その計画、構想が曖昧で目的を失い、破綻した事業に本予算でも、用地取得費に1億円がつぎ込まれています。多くの住民は、この公園整備を望んでいません。市長がこの事業で優先するという明治維新館は、山口県が当面凍結したことを明らかにしました。実際にはこの事業の再開の可能性は非常に少ないといわれ、少なくとも2011年の国体までは、考えられないといわれています。一方、県は浦上記念館に萩焼展示施設を20億円かけて整備することも示しました。陶芸美術館を拠点ととする陶芸の村公園整備事業にとっては、これも事業の目的に大きく影響を与えます。市長は、きちんと棲み分けをして建設をすすめるといわれますが、類似施設を建設する投資効果ははなはだ疑問です。現状を冷静に見つめるなら、この事業は完全に行きづまっています。「いったん手をつけた事業は休止しない」という財政課長の言葉がありましたが、その姿勢こそ、行政の悪しき実態です。20年にも及ぶ継続事業では、当初と状況は大きく変化しています。市長も民間の施設が整備され「当初構想された事業は難しいのではないか」と述べています。そして、今回の維新館建設中止は、いっそう大きな状況変化です。市長の決断が求められるときです。今必急がねばならない事業ではありませんし、また住民が強く求める事業でもありません。厳しい財政事情の中、行きづまりがはっきりした事業へのこれ以上の投資はやめて、住民の福祉や教育、暮らしに密着した予算に振り向けることを強く求めるものです。
良い施策は全市に広げてこそ 合併の効果を実感する
さらにこの予算から本格的に合併による各種事業の統一と各地域の独自施策の廃止が始まっています。1市2町4村は、それぞれ独自の施策を持っていました。699平方キロメートルという広大な面積を持ち、生活圏、文化圏、経済圏の違う地域では、それぞれの条件に違いがあり、諸施策が違うのは当然です。行政合併しても、それぞれの地域の条件に合わせて、違う施策が行なわれることは認めるべきです。そして、それぞれの住民にとって良い施策は全市に広げることが、住民が実感する合併の効果ではないでしょうか。各地域のそれぞれの特色を活かした発展に努めるためにいっそうの努力が求められます。
無料タクシー券の継続を ぐるっとバスの改善を
旧田万川町、須佐町で実施されていた無料タクシー券はその一つの例です。しかしこれは事業が廃止され、その代わりに、通称ぐるっとバス事業が行われます。合併前から、この事業の行く末を案じる人々から不安の声が強く出されていました。今回、住民には医師が通知され、ぐるっとバスの計画が示され、たくさんの方々から、タクシーの代わりにならないと批判が寄せられています。
須佐、田万川では高齢化がすすんでいます。自分の足しか交通手段を持たない高齢者は、自分の都合で使えるタクシー券を非常に頼りにしていました。定時定路線のバスでは使いにくいということと、須佐では路線が住宅密集地を通らないため、タクシーを利用していたがバスは利用できない人も多くいます。
これでは、まさにサービスの切り下げです。タクシー券を復活させるか、ぐるっとバスを多くの住民が便利に使えるよう改善が求められます。
各地域の先進施策を残せ
旧川上村では、保育料は同時入所でなくても3番目以降の子どもは無料でした。このように若者定住支援の施策が充実していました。独自の施策を持たない今の萩市は見習うべきです。
旧旭村では、農薬の散布に補助金が出されていました。高齢農家にとって、この重労働の負担が軽減されることは、営農の継続につながります。この施策も継続し、全市に拡大することで地域農業の支援すべきでは無いでしょうか。
須佐町では、子どもの医療費無料制度は小学校6年生まで拡大していました。これを萩市全域で実施するには一般財源のわずか0.5%あれば十分です。子育て支援を本気で考えるなら十分に可能です。
むつみ村や福栄村では農業に対する支援がきめ細かく行われています。
住民健診も統一され、対象が狭くなったり、負担が増えるところ、健診の種類が少なくなったなど、様々な影響が出ています。
萩ケーブルテレビの須佐チャンネルが廃止になることが明らかになりました。小さい単位のニュース、ローカルニュースこそ住民は期待しています。合併してなくなるのでは、地域のコミュニティー作りに大きなマイナスでは無いでしょうか。継続を働きかける必要があります。同じように旧4村で放映されているケーブルテレビも番組統一だけでなく、地域独自のチャンネルの充実こそ求められるのではないでしょうか。
このほかにも飲料水確保対策事業、合併浄化槽設置補助金上乗せなど様々な独自の施策が行われています。合併でこうした優れた施策がなくなることに住民は不安を抱いています。不安を取り除くのは行政の役目ではないでしょうか。しっかりした対策を考えるべきです。
まちが大きくなれば 人よりルールが優先される
また合併して、まちが大きくなればなるほど、人よりルールが優先されるようになるといわれます。合併前には、住民の顔が見えそれぞれの人に応じて、柔軟な対応がなされていたのに、合併したとたんに法律や条例を杓子定規にあてはめる行政が出現します。しかし、住民の状況は合併してもしなくても変わりません。こういうときに住民は合併して、行政が遠くなった、サービスが低下したと感じます。
合併後各地の施設利用者から利用料の徴収について強い批判がありました。市長との対話集会でも意見が出されました。利用料の負担に驚いて施設使用を控える事例も見受けられます。元に戻さなければ、施設の本来の目的が達しなくなるのでは無いでしょうか。また、元に戻したのなら、周知徹底をすべきです。
保育園入所に関わって、萩市になったとたんに入所の基準が杓子定規にに適用されてきています。母親が家にいれば、入園できないといわれ、何とか許可されたが、これまではそんな厳しいことは言われなかった。幼稚園も無い地域で、子どもに集団生活を体験させるには保育園しかないのに、これでは幼稚園のある旧萩市内にすめということだ、もっと地域の実情を考えて、きめ細かい子育て支援をしなければ人口定住も若者定住も無いと指摘を受けました。幼保一元化が言われる今日において、保育所の定員が開いているのにルールを冷たくおしつけて住民に心痛をかける行政は改めるべきです。
課題山積 高齢化 少子化対策 子育て支援 産業の振興
今萩市では課題が山積しています。特に高齢者や障害者の生活支援など福祉の充実、少子化対策子育て支援、農林水産業や観光などの地場産業の振興は焦眉の課題です。環境問題も将来に向け大事な取組みです。それぞれについて、意見を述べます。
高齢者の生活支援が必要
萩市全体の高齢化率も30%を越えていますが、旧町村ではもっと深刻です。小川、弥富では高齢化率47%、さらに後期高齢化率も25%と急速な高齢化がすすんでいます。山間部に入るほど顕著で、人家がまばらになり、集落機能が大きく低下してきています。介護サービス、介護予防だけでなく、生活支援がどうしても必要です。地域全体で支えあう取組みが待たれます。行政のリーダーシップを発揮するときではないでしょうか。
障害者自立支援法改正で 負担が重くなる 軽減対策が必要
障害者自立支援法の改正が行われ、障害者サービスが大きく変わりました。サービスを受ければ原則1割の負担です。これでは負担が大きすぎるという声が広がっています。市独自の負担軽減策を求めましたが、ぜひ実現していく必要があります。あわせて小規模作業所などでは、矛盾が広がっています。サービス事業所となれば、働いて得る賃金よりサービス利用料が高くなることもあるといわれます。適切な障害者支援が行われるよう十分に配慮していただきたいと思います。
子育て支援 きめ細かく
子育て支援、少子化対策は萩市の未来、将来がかかっています。安心して子育てかできる環境作りと条件整備、充実した施策にむけいっそうの努力を求めます。先に述べた保育所の入所基準の緩和や子どもの医療費助成、さらには医療保健対策の充実強化がもとめられます。子どもが頭が痛いと訴えても、熱が無いというので診てもらえなかった、何度も掛け合って小児科医に診てもらったら、即入院だったという声を聞きました。各医療機関のいっそうの努力が必要なことを実感しました。
児童館の建設も課題になっていますが、子どもの近くにたくさんの児童館が必要です。遊び場が無いということが指摘されます。この自然豊かな萩市には海も山も川もあります。つくられた自然ではなく、安全に配慮しながら、こうした自然を活かした遊び場作り、児童館の整備が必要ではないでしょうか。
国策で 切り捨てられる小さい農家をどう救うのか
農業では、品目横断的所得保障という本来のでカップリングとは似て非なる日本型カッコつきの「所得補償政策」が始まります。小さい農家、日本の9割の農家がこれによって、行政支援からはずされるといわれます。萩市は農業は基幹産業です。この基幹産業の担い手は、多くが小規模零細農家です。行政支援がなくなればいっそう農業生産は衰退し、農村は疲弊するでしょう。
国の政策だから仕方ないとあきらめ、何もしないというわけにはいきません。集落営農への取組みを強めるといわれましたが、具体的な独自の事業何かと質しても、はっきり示されません。示されたの県が集落営農に取り組む集団に補助金を出すということだけでした。これがなかったら、萩市年は何も無いということになります。
また、集落営農ができなかった農家はどう救うのか。どんな手だてで地域農業を支えていくのか、いまだに市の考えが見えてきません。集落営農も、それができればやっていけるものではありません。困難な道が待っています。高齢化や農産物価格の低迷は、集落営農も法人経営も同じです。価格の連続的な低迷は大規模農家により大きな影響をもたらします。零細農家も支援する独自の取組みが必要です。
第一次産業と加工や観光産業が相乗効果を発揮する6次産業の構築で、農林水産業と観光というそれぞれの特色を活かしたまちが合併した効果を発揮することが求められています。そのための起業・創業への支援を求めます。
ゴミ処理 ガス化溶融炉は危険 ごみ減量 温暖化防止に逆行
環境問題も萩市の重要な課題です。大企業による開発がなかったことが、豊かな萩市の景観や環境につながっています。環境の世紀といわれる時代は、これを守り発展させ、売り物にできるチャンスでもあります。市民と協力しながら関連する分野での取組みが求められます。観光地のトイレを無放流式にするなど、市のできることも沢山あります。さらにゴミ問題では、市民の活動はかなり進んでいます。さらにすすめて、これからはゴミを減らす、ゴミを焼かない、何度も使う、リサイクルすることを徹底する必要があります。焼却施設の検討が始まり、市長はガス化溶融炉が最有力といわれました。ゴミの減量化、地球温暖化防止に逆行するおそれが強く、危険性も指摘され、建設費、いじ運営費、管理費がかさむ施設は、慎重な検討をしないと後で市民に大きなツケが回ります。埋め立て処分場の掘り起しができるということだけで決定するのは早計です。豊かな環境のまちづくりを進める萩市として、どの方向が良いか、長州ファイブの志を推奨する市長の歴史的戦略を注目しています。
住民サービス切りすての行革はするな
行政改革大綱骨子案が示されました。住民のサービスを切り下げ、負担を引き上げるような行政改革では意味がありません。また行政サービスにおける公的責任が果たせなくなるものでも困ります。慎重な検討を行うことを求めます。
以上、2006年度一般会計予算の反対討論とします
|