溌墨山水図
(一幅 縦22.7cm・横35.5cm)
雪舟・画
 萩の旧家、菊屋家に伝わった一幅は、如南慧徹(1446〜1507)の賛による。雪舟が八十歳になった頃、明応八年(1499)に東福寺の住職となっているから、それなりに出世した人だろう。賛の内容はありきたりのもので、中国の景色になぞらえて山水の景観を褒め称えるだけだが、この掛け軸を晩年の雪舟をとりまく人間関係の中に置いてみるとおもしろい。京都五山の権威から逸脱し、山口の大内氏のもとに身を寄せて何十年も過ごした雪舟。しかし、京都のことは気になる。そんなあり方に、実は心の底でシンクロした後輩が、出世した後でもそっとシンパシーを寄せる。こんな状況を考えてみれば、このいくぶんそっけなく描かれた山水が、おもしろく見えてくるのではないか?