このページは音声読み上げページです。下の[開始]ボタン(右矢印)を押すと、テキストの読み上げを開始します。([開始]ボタン(右矢印)が出ていない場合はここをクリックしてください。)
なるほど法話 海 潮 音
禅 第34話 椅子坐禅のすすめ
昨年十月より結跏趺坐(坐禅の足の組み方)が出来なくなりました。東京にいた若い頃にスキーで捻挫した古傷が出てきたのです。
かといって、このまま坐禅を止めるわけにもいかず、致し方なく椅子坐禅をすることにしました。
ところが、数回する内に腰が痛くなってしまいました。椅子の上にお尻を載せるだけで正しい姿勢を保つには腰の筋肉を相当使ってしまうようです。
何かいい方法はないものかと考えた挙句、大型木魚の枕のことを思い出しました。
むしろないほうが良い音がするものですから、本堂の物置の奥に突き込んだ記憶があります。あれこれ探してみましたら出てきました。
これこれと思いながら、腰と椅子の背もたれとの間に挟んで坐ってみました。最高でした。結跏趺坐で決めた時と同じ感じで坐ることができました。
無理な筋肉を使って腰を痛めることもありませんでした。「これだ!」と思った次第です。
結跏趺坐(半跏趺坐にしても)は慣れるまでが大変です。この段階でほとんどの人が坐禅を止めてしまうのだと思います。
ところが椅子坐禅だと慣れる必要はありませんが、決まらない(爽快さがない)のでやる気がしないのです。その上、腰まで痛めてしまいます。
しかし、この大型木魚の枕を使えばすべては解決します。そんな訳で「普くお勧め」いたしたくご紹介申し上げる次第です。
坐禅といえば足を組むことかと誤解しておられる向きもあるのではないかと思うのですが、坐禅の足組(結跏趺坐)は両膝とお尻との三点で体を支える三脚に過ぎません。
うまく三脚を作るために坐蒲(お尻の下に敷く円形の敷物)を使ってお尻を持ち上げているのです。
お尻を持ち上げて結跏趺坐という三脚を作ると腰が決まるのです。決まった腰の上に胴体を立てその上に頭を不動に載せるのです。
坐禅の中身は不動の頭の中にあります。紙面の都合で詳しく申し上げることは不可能ですが、不動のまま「今に集中し続ける」ことがコツかと思います。(興味のある方は、木村隆徳「只管打坐を考える」『在家佛教』2008,9をご覧下さい)
「今に集中し続ける」時、何かを考えることはありえません(不思量底)。「今に集中し続ける」時、それは無常(刹那生滅)に重なっています(非思量)。木魚の枕を使った椅子坐禅は、即、道元禅師の坐禅に直結しています。
お尻を突き出した姿勢で椅子に座り、背もたれと腰の間に木魚の枕をヒントにした「椅子枕」を挟んで姿勢を正し、椅子枕を上下に動かし、一番気持のいい所が貴方の椅子坐禅の形です。
下段に「椅子枕」の作り方を紹介します。貴方も椅子坐禅に挑戦されて身心ともにリフレッシュして下さい。 (平成二十二年八月)
音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。