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なるほど法話 海 潮 音
宗教 第 12 話 戒名とは何か
「戒名」とはご仏壇におまつりしてあるお位牌に書かれているご先祖さまのお名前、あれがお戒名ですね。でも、本来の「戒名」は少し違っています。
正式な仏教徒になるとき、仏教徒として護るべき戒を護ると誓いをたてる儀式を「受戒」(戒を受ける)といいます。
この受戒の儀式を執行する側からは「授戒」(戒を授ける)といいますが、この受戒(授戒)の儀式のときにいただく仏教徒としての名前が「戒名」(戒を護ると誓ったときにもらう名前)です。
したがって、この本来の「戒名」は、仏教徒として生きていこうと誓いをたてたときにもらうものですから、生前にもらう戒名ですが、普通にご先祖さまのお名前としてお位牌に書いてあるお戒名は、ご先祖さまが亡くなられて、お葬式をするときに付けてもらった「戒名」です。
ですから、生前に仏教徒になるときに付けてもらう「戒名」と、人が亡くなったときに付けてもらう「戒名」と、戒名には二種類あることになりましょう。
ただし、生前に受戒のときにもらった戒名は、その方が亡くなってお葬式をするときにもそのまま使われます。
実は、人が亡くなったときに付けてもらう普通のお戒名と思っているものも、本来の戒名と同じでして、生前に受戒をして正式な仏教徒となっていない人(当然、戒名もありません)が亡くなった場合、あわてて戒を授け、お戒名も付けて、正式な仏教徒になっていただき、その上でお葬式をすることになるわけです。
外から見ると亡くなった人に付ける名前が戒名の如くですが、あくまでも仏教徒としての名前が戒名です。
とはいいましても、現今にありましては、ご遺族が亡き人を偲ぶときに、この「お戒名」を通して偲ぶことになるわけで、「お戒名」とは、亡き人を偲ぶときにこそ登場するご先祖さまのお名前であるというのが一般的な理解かと思います。
この「お戒名」を亡くなられたお檀家さんのために用意するのは私たちお寺の住職です。
お戒名を用意するに当って、故人のお人柄に相応しいものをと気を配って用意するわけですが、私はこれを用意するに当り、アンケート式の用紙を使ってご遺族にご記入いただき、ご遺族の目から見た故人のお人柄を尊重し、それをお戒名に反映したいと考え実行しています。
たとえ住職の目から見たお人柄がより客観的なものであったにしても、故人を真に偲ぶべき人はご遺族なのですから、ご遺族の目から見た故人のお人柄こそ最も尊重されるべきものでありましょう。
それをお戒名に反映することこそ住職の大切な仕事の一つかと思っています。(平成二十年十二月)
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