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なるほど法話 海 潮 音
宗教 第 1 話 宗教とは何か
宗教とは何かを考えるとき、宗教は人間だけが持っているものであり、人間以外の動物は宗教をもっていない、ということが大きなヒントになるでしょう。
では動物はなぜ宗教を持っていないのでしょうか。それは動物が考える力というものをほとんど持っていないからだと思います。しかし、動物たちは考える力を持っていなくても立派に生きています。それは、彼らが自然の摂理に従って生きているからでしょう。自然の摂理に従って生きている限り、宗教というものは要らないのだと思います。
それに反して人間は、考える力を持っていますから、単純に自然の摂理に従って生きようとはしません。考える力によって色々と工夫をして生きようとします。その結果、すべてはその考える力に委ねられてしまい、人間は考える力だけを頼りに生きていかねばならくなったと思います。そこに宗教の必要性が見えてくると思われます。
ところで、自然の摂理にしても、考える力にしても、車に例えればハンドルに当たり、エンジンではありません。エンジン、即ち、生きる原動力は何かといえば、それは欲望です。この欲望を自然の摂理ではなく、考える力によってコントロ―ルするということは並大抵のことではないでしょう。欲望に考える力が結びつくと、相乗効果でどこまでも膨らもうとするからです。
ですから、仏教の開祖釈尊は欲望のコントロ―ルの仕方、すなわち「少欲知足」を繰り返し説かれました。つまり宗教とは、欲張りな自分を見つめて、限りない欲望をコントロ―ルしようとする原理である、といえると思います。
無着成恭さんは、「あなたの宗教は何ですか」という質問は、「あなたは、限りない欲望を、お釈迦さまの教えでコントロ―ルしているのですか。それともキリストさんの教えでコントロ―ルしているのですか」という質問と同じことだと言っておられます。こういう意味での宗教は、今叫ばれている「環境問題」といったような問題の本質をつくものでもありましょう。(平成10年1月)
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