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なるほど法話 海 潮 音
社会 第58話 小学生新聞
小学生新聞を盗み読みしました。とは言うものの、ジジ・ババが孫たちにプレゼントしている新聞ですから、「百パーセント盗み読み」でもないでしょう。 小学生新聞はすべての漢字がルビ付ですが、馬鹿にしたものではありません。 私が盗み読みしたものは十月十四日(日)付けの「毎日小学生新聞」の一面です。「魚が豊かな日本 なぜ輸入が必要か」という見出しの一文です。 書いた人は「哲学者」の肩書きで、NPO法人・森づくりフォーラム代表理事の内山節さんです。 記事の内容をかいつまんで述べてみます。 内山さんによれば、日本の近海は世界一と言ってもよいほど魚が多いのだそうです。 また日本中で魚介類(マグロ、タイ、ブリ、ヒラメなど)の養殖がおこなわれ、海藻類(ワカメ、コンブ、モズクなど)までが養殖されていて、日本は養殖大国でもあるのだそうです。 そんな日本が世界各地から魚を輸入し、そして外国の沿岸にまで魚を取りに行ったりもするのだそうです。 たとえば鮭は日本でもたくさん取れますが、スーパーなどで売られている銀ザケは、ほとんどが南アメリカからの輸入品なのだそうです。 このような日本の漁業事情に対して内山さんは、輸入したり、遠くの海まで取りに行かないと、日本人の食べる魚は本当に足りないのだろうかという疑問を持たれたそうです。 そこで、漁業研究をしている知り合いの大学の先生に「日本近海で取れる魚や、日本で養殖している魚だけでは、日本の人たちが必要としている魚は賄えないのですか」と質問したそうです。 2、3日後にその先生から「調べてみたら、日本近海で取っている魚と養殖魚を合計すると、日本の人たちが食べている魚の量と同じになることがわかった」という電話があったそうです。 それなら輸入などしなくてもいいのですねと言うと、笑いながら「いやいや、全然足りません」との答え。 なぜですかというと、「捨てる分が足りません」との返事だったそうです。 その先生の説明によると、日本では3分の1は捨てられていると推計されるそうです。食べ残しで捨てるもの、賞味期限切れで捨てるもの、刺身や切り身を取った後の売れそうにないもの、これらを合計すると膨大なものが捨てられるのだそうです。 世界に目を移すと、食べ物が不足して病気や栄養失調になる子どもたちがいっぱいいます。 食べ物はすべて命ある生き物だったのです。捨てる分が足りないから外国から輸入する社会というのは、どう考えてもおかしいでしょう。 こんな事を考えさせる小学生新聞です。如何ですか。(平成三十年十一月) |
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