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なるほど法話 海 潮 音
社会 第53話 全国の堤防に植樹祭を
九月十二日放映の「NHKスペシャル 緊急報告・列島大水害」を見ました。 アナウンサーの質問に対し三人の専門家が解説していました。主なテーマは「堤防の決壊」「記録的豪雨の背景」「備えは十分か?命を守るためにできること」などでした。 映像の中で鬼怒川の堤防が決壊し濁流が民家や収穫前の田んぼを襲っている姿が映っていると同時に、その時まさに、決壊部分が大きく崩れていく姿が映りました。 解説していた三人の専門家の一人は決壊部分を直接見てきたそうですが、特別に不備があるために決壊したとは考えられず、むしろ出来のいい堤防だったとのことでした。それがなぜ決壊したのでしょうか。 今回はどうも水が堤防を越える「越水」が原因だったようです。この越水をもたらしたのが同じ地域に長時間降り続けた記録的豪雨だった訳ですが、更にこの異常気象をもたらした原因が積乱雲が帯状に連なる「線状降水帯」といわれるものだということです。 これをもたらしたのが台風18号くずれの温帯低気圧と台風17号であり、数の多い台風の発生は日本近海の海水温の上昇であり、それは結局、地球温暖化によるのであるということです。 ということは、地球温暖化を止めることが出来ない限り、異常気象による堤防の「越水」は日本のどこでも起きる現象であり、増え続ける現象であるといえましょう。 かといって堤防をかさ上げする「スーパー堤防」は巨額な投資を要します。簡単にできることではありません。 ではどうするか。少なくとも命を守るために、避難計画をしっかりすることだ、という話に流れた感を否めません。 私は越水しても決壊を防ぐ方法はあると思っています。それは堤防の草の生えている所にタブノキ・カシ・シイなど雑木と呼ばれる日本全国に本来ある木(常緑広葉樹)を植えることです。これらの木は松や杉と違って根が地中深く張って堤防をガッチリ守ってくれるでしょう。 東日本大震災を受けて現在、宮城県岩沼市で展開されている「森の防潮堤」活動は宮脇昭・横浜国立大学名誉教授の指導のもとに行われています(「森の防潮堤協会」で検索)。 ここで実践されている植樹をそのまま日本全国の平野をつくっている河の堤防で実践しさえすればいいのだと思います。 防潮堤では植樹した木が枯れないようにする工夫が大変ですが、堤防の場合は水が流れているのですから簡単でしょう。 全国どこにでもある鎮守の森に行けばドングリが転がっています。これを皆で育てて植えるのです。堤防がある所に人が住んでいるのですから必ず出来ましょう。(平成二十七年十月) |
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