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なるほど法話 海 潮 音      


社会 第50話  受賞者の言葉   

   
 今年のノーベル物理学賞に青色発光ダイオード(LED)の開発に成功した赤崎勇・名城大終身教授と天野浩・名大教授、それにLEDの量産技術を開発した中村修二・米カリフォルニア大教授(米国籍)の日本人三氏が受賞され、日本人の手によってLEDの開発から量産まで一気に成し遂げられるという快挙が達成されました。

しかも今回の窒化ガリウムを用いての成功は海外の学者がことごとく脱落していく中での快挙でした。誠におめでとうございます。

エジソンが発明した白熱電球は電気で発熱させて光らせたのに対し、LEDは電気を直接光に変えることが出来るので大変効率がよく(消費電力5分の1)省エネをもたらすそうです。

世界にはまだ電気が通っていない所が沢山ありますが、太陽光発電器と蓄電器、それにLEDがあれば、鉄塔を立てて電線を張らなくても、子ども達が夜勉強できるようになるそうです。

ノーベル賞選考委員会も「15億人以上の生活の質を向上させた」と称賛しています。

 ところで、受賞が発表されるや受賞会見が開かれ報道陣からの質問が飛びました。受賞者はそれぞれ誠実に質問に答えられ、含蓄のある言葉が残されています。

▼赤崎勇さんの言葉=「誰もやったことがないというのは、できるか分からないということ。できることをやるのとは違う。長い間、孤独に耐える決意が必要だ」「好きなことなら結果が出なくても続けることができる」

▼天野浩さんの言葉=「学問というものは、究極の目的が人のために役立つものでなければならないということを高校・大学での教育で教わった」

▼中村修二さんの言葉=「自分の若い頃は科学が好きだった。若い人には自分の好きなことを見つけて勉強・研究をして頂きたい」「役に立つことが科学技術のゴール」。

 これら三者の言葉は同一会見場での言葉ではありません。赤崎さんは日本で、天野さんは出張先のフランスから、中村さんは居住地の米国から、それぞれ発せられた言葉です。

赤崎さんの「好きなこと」とは「好き勝手」ということではありません。赤崎さんは子どもの頃、野山や浜辺で貝殻や石を眺めるのが大好きで、鉱物標本のとりこになったそうですから、子どもの頃から変わらない「好きなこと」であって、「好き勝手」ではないのです。

天野さんや中村さんの「人の役に立つこと」とは、学問は人の為にするのであって自分の為ではないということです。

「好き勝手」や「自分の為」でないが故に孤独に耐え継続することができるのでしょう。受賞者の方々の言葉をかみしめたいものと思います。(平成二十六年十一月)
 

音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。