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なるほど法話 海 潮 音
社会 第47話 農薬農業
今年の梅雨時分だったと思いますが、我が菜園の上をツバメが数羽ぐるぐる回っているのを見ました。すぐ近くの電線に留まっては回り、留まっては回り、と繰り返しています。 どうも畑にゴミ捨てとして使っているプラスチック製のコンポスター(生ゴミ堆肥化容器)周辺に飛んでいる虫を捕らえているようです。 ツバメは本来田圃の上を飛んでいるはずですが、どうも近頃は田圃では見かけないなと気付きました。恐らく田圃は農薬で虫がいなくなっているのでしょう。我が菜園は無農薬ですから虫だらけなのかも知れません。 テレビでは、あちこちでミツバチが大量失踪したニュースを報道していましたが、その原因は特殊な農薬のためらしいのです。一体どんな農薬なのか、ちょっと調べてみることにしました。 ネットで調べてみると今年五月十八日に立教大学理学部で行われた「鳥もいない、虫もいない─新農薬ネオニコチノイドの実態と無農薬へのとりくみ─」と題するシンポジウムの記録を見つけました。 講師のお一人である稲葉光國さん(NPO法人民間稲作研究所代表)によると、一九七〇年代後半から高度経済成長の波に乗って急速に普及した田植機が農薬の過剰使用を促したようです。 田植機の導入は苦役労働からの解放とともに多収の実現も当然ながら目的とされ、その結果、極端な密植が行われ、農薬(殺虫剤、除草剤など)と化学肥料の過剰使用が進み、日本(韓国も)は世界一の使用国となったそうです。 しかし環境保全型農業の推進が叫ばれるようになると農薬散布は制限されるようになったのですが、なぜか回数だけが問題とされたそうで、農薬メーカーは散布回数を減らしても効果が持続する神経毒性の長期残留農薬であるネオニコチノイド系農薬やフィプロニル農薬を開発し、害虫(昆虫)には卓効を示すが哺乳類には安全であるとの触れ込みで全世界にばらまいたということです(勿論人体にも影響があり、特に子供に精神障害が出ているようです)。 テレビが報道したミツバチの大量失踪は、ネオニコチノイド系農薬の神経毒性の長期残留という特性によって巣へ戻る方向感覚を失ったためのようです。何ともひどい話ではありませんか。 いつも思うのですが、経済がからむと人間は際限なく突き進んでしまいます。そのことを何とかしなければならないと思うのですが、これは人類全体の問題だと思っています。 (なお、ネオニコチノイド系農薬の商品名や製薬メーカー名などのの詳細は「ネオニコチノイド系農薬・殺虫剤 便覧」で検索下さい。) (平成二十五年十一月) |
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