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なるほど法話 海 潮 音
社会 第43話 復興予算の使途
大震災から一年半以上が経った現在、瓦礫の撤去だけは進んでいるようですが、復興が進んでいるようには見えないように思うのです。 国民の増税によって決まった十九兆円という膨大な復興予算は一体どのように使われようとしているのでしょうか。 十月九日の「ひるおび!」(テレビ山口、TBS系列)を見てびっくりしました。町全体が津波で流され現在は原っぱになってしまったあの被災地にこそ復興予算は使われるはずだというのが私たち国民の素直な思いでしょう。 ところがです。たとえば、復興予算から経済産業省によって認可された民間企業の設備投資のうち、被災地での認可は三十件なのに対し、被災地以外での認可は四百八十件もあり、被災地には6%にも満たない割り当てとなっています。これは一体どういうことなのでしょう。 あるいは、財務省関係で言えば、東京の荒川税務署など全国十二箇所の税務署の耐震改修に十七億円が復興予算から計上されているとのことです。 このような首をかしげたくなるようなことがまかり通る理由は、政府が昨年七月にまとめた「東日本大震災からの復興の基本方針」に「被災地域における社会経済の再生」という文言とともに「活力ある日本全体の再生」という文言も並べて記載されていることによるようです。 元経産省官僚の古賀茂明氏によれば、官僚が作った文章はいつでも拡大解釈ができるよう大変巧妙にできているとのことですが、 衆院決算行政監視委員会委員の河野太郎氏は、たとえ役人が巧妙な文章に基づいて変なものを挙げたとしても、大臣がだめだと切れば、それで済むことだと指摘しています。 また河野氏は仙台港の破損箇所の復旧に十二億円かかるとされるが、それをやらずに、全国の国税庁施設費に十七億円を使っていると述べていましたが、仙台港の復旧が未着工だとすれば問題でしょう。 このように各省庁の役人は上から目線でやりたい放題の如くですが、一方、被災者側が復興予算を受けようとすると、並大抵のことではないらしく、「一個人や一企業に補助金(公金)は出せない」という大原則が被災者への予算配分をじゃましているようです。 これを克服するためのグループ化という方法があるようですが、グループ化が成功したとしても、使うお金は自分たちで用意し、その領収書を提出して初めて補助金(しかも使用額の75%)を受け取れるというというシステムだといいます。 「国の役人は被災者の気持ちを理解しているとは到底思えない」という被災者の声を重く受け止めてもらいたいものと思います。(平成二十四年十一月) |
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