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なるほど法話 海 潮 音      


社会 第34話  昨年誕生した新政権    

 昨年の「今年の漢字」は「新」でした。新政権、新大統領、新型インフルエンザなどからの連想だということです。

「新しい」という言葉は「希望」の意味を含んでいると思いますが、新型インフルエンザは脅威を感じますし、新政権、新大統領も当初は希望に満ちたイメージでしたが、果たしてどうでしょうか。

特に「新政権」については注意が必要と思います。たとえば、十二月十五日、皇居で天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見が行われましたが、この会見は宮内庁の「一ヶ月ルール」を破って特例的に設定された点が問題となりました。

設定に至るまでの成り行きを『毎日新聞』(十二月十三日朝刊)によってまとめてみますと、まず、外務省が宮内庁に会見を申し入れたのは十一月二十六日です。

翌二十七日には官邸の了承を得た上で中国側に会見はできないと伝えています。会見予定(十二月十五日)までに一ヶ月を切っていたからでしょう。

このとき、官邸から異論は出なかったということです。即ち、鳩山首相は「一ヶ月ルール」に照らして断ることに異論なしとしたのでしょう。

十二月七日、平野官房長官が羽毛田宮内庁長官に天皇陛下と習副主席との会見を電話で直接要請していますが断られています。

九日、小沢幹事長は国会内で崔天凱駐日中国大使と会い、翌十日に民主党議員約百四十人と共に中国訪問に出発しました。しかし、胡錦濤国家主席との会談は直前まで決まらなかったと『毎日新聞』(同)は報じています。

十日夕、平野官房長官は電話で再度「総理の指示を受けての要請だ」と強い口調で羽毛田長官に申し入れ、翌十一日、羽毛田長官が天皇陛下に願い出をして公的に会見が決まりました。

一方、十日北京に着いた小沢幹事長は同日夕、胡錦濤国家主席と無事会談を果たしますが、会談に先立ち、幹事長に同行した民主党議員約百四十人は一人一人が胡国家主席と固く握手するという異例の厚遇で迎えられました。

日本では天皇陛下と習副主席との特例的な会見を巡り、天皇陛下の「政治利用」に懸念を示した羽毛田宮内庁長官の発言に対し、「反対なら辞表出した後に言え」という小沢幹事長の猛批判があったりで大変でしたが、

見逃すべきでないと思いますのは、十一月二十七日の「一ヶ月ルール」を遵守する立場から二週間も経たない十二月十日に同ルールを無視する立場に豹変している鳩山首相の態度です。

豹変を促している何かがありそうです。もし、総理大臣でない人が最終決定権を持っているとしたら、一体どういうことになるのでしょうか。(平成二十二年一月)

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