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なるほど法話 海 潮 音
社会 第31話 今回の総選挙(1)
今日はお盆が終わった八月十六日、ホッとするところですが、三十日の総選挙が気になりキーボードをたたいています。お読み頂く頃には選挙の結果も判明していましょうから単なる戯言です。
前回の総選挙は「郵政民営化に賛成か反対か」の選挙でしたが、今回は「はたして政権交代なるか」の選挙でしょう。大変分かり易い選挙なので、前回のように大勝か大敗かの結果になりそうです。
報道では、「交代なる」が優勢のようですから、政権交代で腐ったところを洗い流すのも大いに結構ですが、気になりますのは、もし民主党が大勝すると、鳩山新代表のもとで裏方に隠れ、以前にもまして元気はつらつと選挙三昧に徹しているとされる選挙担当の小沢一郎氏の躍進です。
候補者選定や他党との調整、資金面など、ほぼ全権委任の状態といわれています。
小沢氏は、1993年に宮沢内閣不信任案に賛成して自民党を飛び出して以来、新生党、新進党、自由党を相次いで結成しては解党し、2003年に民主党に合流して現在に至っています。
このように小沢氏には「政党使い捨て」の傾向が見えますが、事実、自ら「政党は所詮、目的実現のための道具に過ぎない」(民主党との合併が決定した2003年9月の記者会見)と述べています。
政党を使い捨ててまで目指す目的とは何でしょうか。
政治アナリスト伊藤惇夫氏は「小沢にとって、文句を言う奴、指示に従わない奴がいる「政党」は目的実現のための道具に過ぎず、利用価値がなくなれば平然とポイ捨てできる存在だが、親分の命令一下、一糸乱れず行動できる「派閥」は政党よりもずっと使い勝手のいい、愛着の湧く存在なのではないか」(『文藝春秋』9月号、143頁)と述べています。
そして、その小沢氏率いる「小沢派」の規模ですが、伊藤惇夫氏によれば、今回の選挙で衆参合わせて百人規模に成長し、1986年に最も肥大化した「田中軍団」に匹敵する勢力になると指摘されています(同、141頁)。
実はこの一糸乱れぬ百人規模の軍団を持てば、どの政党でも分断できるのであり、政界を思うままに操ることができるわけです。
もし小沢氏の目的がここにあるとすれば、これは政治家たるもの懐くべからざる危険な目的といわなければなりません。
松陰先生は教えておられます。世の中に役立ちたいという心は命に勝るものであり、私心なき者こそ生きるに値するということを。「世に身(み)生きて心(こころ)死する者あり、身(み)亡びて魂(たましい)存する者あり、(中略)私欲なく私心なきもの生を偸むも妨げず。」(安政六年七月中旬、高杉晋作宛手紙) (平成21年9月)
音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。