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なるほど法話 海 潮 音      


社会 第 2 話  人口爆発    

米国政府人口統計局によると、世界の人口は西暦元年には1億人だったのが西暦1000年には2億人、1500年には5億人、1900年には15億人、そして西暦2000年を直前にした現在は58億人というように急激に増加しており、これを人口爆発といいます。この人口爆発は途上国において起こっていますが、その真相はどうなのでしょう。

自給自足の社会では、貧しくても人口は安定しているとされます。必要以上の食糧の供給がなければ人口は増えないからです。ということは、人口爆発を起こしている途上国には必要以上の食糧が供給されているということになるでしょう。

問題の途上国のほとんどは、かつて先進国の植民地だったか、現在先進国に資源(熱帯林、鉄、アルミ、石油など)や換金作物(コ−ヒ−、ゴム、コショウ、タバコなど)を輸出している国々だといわれます。このような輸出によってお金が入ると食糧の供給が増え人口も増えます。人口が増えると、より多くのお金が必要となり、無理して輸出を増やします。

この悪循環によって、最後には資源の枯渇と環境破壊がもたらされ、荒れ果てた土地に餓死寸前の人々があふれている映像がテレビに映し出されることになります。

そして「人口爆発の原因は貧しさです」と説明が付いたりしますが、本当はそうではなく、右の如く、先進国によって、途上国の「人口爆発」と「貧しさ」とが共に作り出されたと言うべきでしょう。この先進国と途上国との関係が続く限り人口爆発は止まりません。

国連の予測では「2050年には百億人」とのことです。このままでは、食糧、水、エネルギ−の絶対的不足などで、人口が百億に達する前に世界は崩壊すると言われています。

遠い未来のことではありません。今の子供たちが一生を終えるまでに起こることなのです。因みに、先進国の筆頭に日本がいることを忘れてはなりません。(平成9年4月)


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