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なるほど法話 海 潮 音
社会 第17話 ガンジーの七つの言葉
先般、ある知人から一枚のコピーを頂きました。そこには、インド独立の父ガンジー(1869-1948)の言葉が記されていました。
それは、ラージガートにあるガンジーの碑文に刻まれた『七つの社会的罪』(Seven Social Sins)と題するもので、
理念なき政治(Politics without Principles)
労働なき富(Wealth without Work)
良心なき快楽(Pleasure without Conscience)
人格なき学識(Knowledge without Character)
道徳なき商業(Commerce wihtout Morality)
人間性なき科学(Science without Humanity)
献身なき信仰(Worship without Sacrifice)
という七つの言葉です。
頂いたコピーには「マハトマ・ガンジーのこの魂の箴言は、人類への普遍的な問いかけである」と付け加えられていました。
私はガンジーのことはよく分かりませんので、上記の言葉の正しい意味の解説などはとても出来ませんが、これらの言葉を眺めて私なりの感想を述べてみたいと思います。
まず、「AなきB」の「B」には、政治、富、快楽、学識、商業、科学、信仰という言葉が並んでいます。これらの言葉は、表題に「社会的罪」とあるように社会と関わりのある言葉のようです。そしてその「B」が「Aなき」状態のとき「罪」となるという訳でしょう。
「B」が社会に関わる言葉であるのに対し、「A」はここではより個人に関わる言葉のように思われます。
と申しますのは、ガンジーは「非暴力」(アヒンサー)を唱えたことで有名ですが、この言葉は何もガンジーが始めて唱えたのではなく、ヒンドゥー教では古来から最高の徳とされ、ただそれが個人の行動に関して適用されたに過ぎませんでした。
ところがガンジーはその原理を共同体と国民との問題に適用したとされています。即ち、個人原理を基盤に社会原理を考えたということです。そのような方向性があるとすれば、「A」の理念、労働、良心、人格、道徳、人間性、献身は、より個人に関わる言葉と理解できそうです。
そこで七つの言葉に返りますと、確かな理念を持つことなく票の獲得を政治と考えたり、労働もせずに富を稼ごうとしたり、良心をなくして快楽に耽ったり、人格をみがくことなく学識だけを振りかざしたり、道徳的考えを持たずに法の網をくぐる悪徳商業行為をしてみたり、人間とは何かを考えることもなく科学技術を暴走させてクローン人間を作ろうとしたり、自分を顧みず神に仕える信仰ではなく願望成就だけの信仰を煽ったりする等のことが、如何に社会に害を流すかを教えた言葉と理解できましょう。皆さんはどのように理解されましょうか。(平成15年4月)
音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。