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なるほど法話 海 潮 音      


社会 第 11 話  ゴミ問題    

日本では、一日に一人当たり約1キログラムとして、年間約5000万トン(東京ド−ム約135杯分)のゴミを出しているといわれています。「産業廃棄物」にいたっては実にその8倍といわれていますから、気の遠くなるような量ですが、更に気が遠くなりそうなのは、日本のゴミの最終処分場は、あと数年でいっぱいになり、とくに首都圏では、現在の埋め立て地が今年(平成9年)9月でいっぱいになるといわれていることです。いったいどうしたらいいのでしょうか。

昔は、と言っても戦後のことですから、ついこの前のことと言ってもいい訳ですが、「もったいない」という言葉が生きていました。この言葉が死語化するにつれてゴミ問題が表面化してきたように思います。そして、その過程の中に高度経済成長期の経済第一主義があったのではないでしょうか。

その頃の笑い話にこんなのがあります。教室で、先生が生徒に紙を配りました。ある生徒の紙が風で飛んで床に落ちました。その生徒が新しい紙を要求したので先生は、ほとんど汚れてもいないのでその紙を使うように言ったところ、生徒は、新しい紙をどんどん使ったほうが紙の生産労働者は喜びます、と言ったというのです。

日本のゴミ問題がパンク寸前にまでなるのは、ゴミ処理が自治体の責任とされ、市民がひと事のように考えている点が大きいと思います。環境先進国といわれるヨ−ロッパでは、ゴミ処理は受益者(市民)負担、製造者(企業)責任という考えが浸透し、市民も企業もできるだけゴミを減らそうと努力するそうです。

岐阜県御嵩町で産業廃棄物処理施設の建設の是非を問う全国初の住民投票が行われ、投票率が87・50%(結果は全有権者の七割が反対)と極めて関心の高かったことを示しましたが、更に、ゴミを出さない生活スタイルの追求こそ、ゴミ問題の本質であることを肝に命じたいと思います。(平成9年7月)


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