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なるほど法話 海 潮 音      


自然 第 5 話  種の絶滅    

「種の絶滅」とは、ある種の生物が地球上から一匹もいなくなることで、日本でも国際保護鳥のトキが二度と見れない鳥になろうとしています。

地球の歴史上、全生物種の大半が絶滅するという「大絶滅期」が5回あったそうですが、代表的なのは、今から約6500万年前に巨大隕石が地球に激突したときで、舞い上がった粉塵が大気圏を覆って全生物のおよそ75%(数百万種)が絶滅したそうです。

その時でも、進行そのものは意外とゆっくりで、数百万年かかったといわれています。ところが、現在の種の絶滅のスピ−ドはその比ではないのです。

100年前が「大絶滅期」とほぼ同じくらいで一年に一種、20年前が一年に千種、そして現在は、なんと一年に四万種という猛スピ−ドで絶滅しているのだそうです。

勿論、人間が原因です。開発の名のもとに、山も川も海もコンクリ−トで固められつつあります。一見青々としている畑も農薬だらけで、豊かな自然の生態系は根こそぎ破壊されようとしています。

外界だけではありません。私たちの体内も農薬などで汚染され寄生虫さえも住めなくなっているのです。大腸菌がいなくなればどうなるでしょうか。もし、細胞内ミトコンドリアがいなくなれば人類は確実に滅びるといわれています。

これ以上の種の絶滅は、人類のみならず、全生態系の破局を意味するでしょう。アメリカの先住民族は、生物の共生関係を「生命の織物」と呼び、1854年、ある酋長がアメリカ大統領にあてた手紙の一節に次のようにあるそうです。「われわれは知っている。地球が人間に属しているのではなく、人間が地球に属していることを。すべての生命は、一つの織物であることを。この織物を編んだのはわれわれではなく、われわれは一本の織り糸にすぎないことを。生命の織物に対して行うことは、すべて自分自身に降りかかってくることを」。一世紀半近くたった今、人類はこの酋長の言葉に耳を傾けることが出来るでしょうか。(平成9年3月)


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