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なるほど法話 海 潮 音      


自然 第 4 話  ヒヨドリ    

数年前のテレビでのことです。野鳥にとりつかれたご年輩が、ご自分の庭の手水鉢にやってくる野鳥たちの姿を隠しビデオで撮っておられました。野鳥たちがいかにも楽しそうに水浴びをしている姿は今も鮮明に覚えています。

お寺の庭にも目白やヒヨドリが椿の蜜をねらってやって来ます。私も少しちょっかいを出してみようと思い、鳥がとまりやすい台を作って釘にリンゴを指しておきましたら、早速、目白とヒヨドリがやって来て食べてくれました。

ヒヨドリがやって来たとき、目白が先客でいますと、ヒヨドリは目白を追っ払ってリンゴを一人占めしようとします。「にっくきヒヨドリ」と思いたくなるところですが、これが自然の摂理というものなのでしょう。しばらく目白も来ていましたが、やがてヒヨドリだけが毎日来るようになり、しかも一日中餌台でリンゴばかりついばんでいるのではないかと感じるほどになりました。あれじゃあ、豚になってしまいはしないかと心配になったくらいです。

野鳥が庭先にいて餌をついばんでいる姿は心がなごみますね。長期入院の患者さんたちが、こんな光景を見ることができれば、入院生活もグッと違ったものになるのではないかと思ったりもしました。

そんなことを考えているうちに、ヒヨドリがパタッと来なくなりました。そういえば、その二三日前に、沢山のヒヨドリの群が東北の方角に飛んでいくのを見ましたが、もしかして、あの群に入っていたのではなかろうかと思い、早速辞典を引いてみました。

「ヒヨドリ科の鳥。全長二十七センチメートル内外。背面は灰褐色で、胸は灰色で白斑がある。(中略)日本全土のほか、台湾に分布する。多くは留鳥で、四〜七月山地で繁殖し、秋冬には市街地にも来る。」とあります。なるほど、群が飛んだ日は確か四月二十日前後だったと思いますから、辞典にあるとおりです。しかし、どんな合図で群れを作るのか。群のメリットは何なのか。自然の摂理は考えれば考えるほど不思議です。  (平成11年5月)


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