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    なるほど法話 海 潮 音      
自然 第21話  スイカ




 ここ数年、八月二十四日の当山恒例大法要の本尊様へのお供えは、住職である私が自分で作った自慢のスイカを一対お供えしております。そんな風になったいきさつを少しばかりお話しさせていただきます。

 只今の私の菜園には、お供え用のスイカの他に、里芋、ナス、キュウリ、トマトなどが植えられています。

スイカもそうですが、特にトマトの栽培には骨が折れます。なぜなら、カラスに横取りされないように網の中で栽培しないといけないからです。

私の場合は、長さ2メートルの農業用鉄パイプを30本ぐらい使って骨組みを作り、それに7〜8ミリの編み目の網をかけてカラスよけとしています。丁度、トマト栽培の時期は台風シーズンとも重なりますので、いい加減に骨組みを作ると台風にやられてしまい、結構大変です。

ついでに申し上げると、私の菜園では化学肥料は一切使いません。すべて堆肥です。私が使っているEM堆肥は、高知県本山町で完全無農薬有機野菜を作っておられる山下一穂さんの著書で知ったEM堆肥で、高知県本山町の障害者支援施設しゃくなげ荘から宅配便で送ってもらっているものです。堆肥の値段よりも送料の方が遙かに高くついておりますが、道楽でやっているのですから、まあいいか、と思っております。もっとも、何年か前に、山下さんの本を片手にEM堆肥の自作も試みましたが、今は隠居後の仕事かと思っています。

話がそれましたが、今回はスイカの話です。何年か前に、このスイカの苗を全くの遊びのつもりで網の中のトマトのそばに2〜3本植えてみたことがありました。

茎や葉っぱはトマトを跳ね除けんばかりに勢いがありましたが、実は一向になりませんでした。

ところが、その後、勢い余ったスイカのつるが網をはい上がっており、そのつるにぶら下がるように成っているスイカを発見しました。

ああそうか、網の中で咲いている花には蜂や蝶が来てくれないが、網をはい上がったつるの花には外から虫たちが受粉してくれたのだと気がつきました。

家庭菜園の本を見れば、受粉や摘果は常識的に書いてありますが、遊び半分で植えた私にはその意識は全くありませんでした。

しかし、トマトのためのカラスよけの網がその二つのことを見事に成し遂げてくれ、15キロぐらいの立派なスイカが二つとれました。これが本尊様に最初にお供えしたスイカです。

以来、毎年八月二十四日に向けて立派なスイカがとれるように精を出しております。今年も何とかお供えできそうです。勿論、トマトの網の中ではなく、別に栽培しております。(平成二十七年九月)

    

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