このページは音声読み上げページです。下の[開始]ボタン(右矢印)を押すと、テキストの読み上げを開始します。([開始]ボタン(右矢印)が出ていない場合はここをクリックしてください。)


なるほど法話 海 潮 音      


自然 第17話  カエル
    

 以前、地蔵堂でカエルを発見しました。そのときすぐ思い出したのは無農薬有機農業を高知県本山町でやっておられる山下一穂さんのカエルの話です。

山下さんは本山町でプロ農家として手広くやっておられるようですが、放置したままの状態のキャベツ畑に行ってみた時の話です。

放置していたにもかかわらず、立派なキャベツがゴロゴロあったそうです。普通であれば青虫に食われて穴だらけのはずですが、なんとも立派で驚いたそうです。

どうしてだろうとよく見てみると、カエルがいっぱいいたそうです。カエルが青虫を食べてくれていたということです。

私もまがりなりにも畑をやっていますので、青虫やヨトウムシにやられた経験は山ほどあります。そんなわけで、カエルを見たとき山下さんの話を思い出しました。

それで私も無農薬に挑戦していることだし、畑にカエルがいてくれるといいなと思いますので、発見したカエルにおいでいただくことにしました。

しかし一匹では何の効果もないでしょうから、取り合えず境内の池のそばに放すことにしました。次の日に池の辺りを見回しましたが、カエル様の姿はどこにもありませんでした。

そのままカエルのことは忘れていたのですが、ある日、中庭のアルミサッシのガラス戸にへばりついているカエル様を発見しました。恐らくおいでいただいたカエル様に違いないと思います。

このカエル様はアルミサッシのガラス戸がお気に入りのようで、毎日へばりついています。しかしよく見ると、暗くなりますとガラス戸から手水鉢に移り、そして庭のどこかに消えて行きます。恐らく食事に行かれたのでしょう。次の日の朝、またガラス戸にへばりついています。もう二、三週間は経ったかと思います。

カエルの生態を調べてみますと、このカエルはニホンアマガエルのようです。近くに田んぼや川はありませんので、どこから来たのだろうかという疑問が浮かびますが、ニホンアマガエルの場合は、転がっている水の入ったビンの中でも一ヶ月もあればオタマジャクシからカエルに成長することもできるのだそうです。

そしてガラス戸にへばりついているのは、恐らく天敵のヘビから身を守っているのでしょう。ヘビはガラス戸を登ることはちょっとできそうにないからです。

このカエル様は雄か雌かわかりませんが、もし鳴けば雄ということになりましょう。雌であれば雄様に来ていただいて、手水鉢などでオタマジャクシを発見なんてことになれば、面白いでしょうね。そうなったら畑でも活躍していただきたいものと思っています。 (平成二十二年十月)

音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。