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なるほど法話 海 潮 音      


自然 第16話  家庭菜園(2)
    

 先月、「家庭菜園」と題して書きましたら、十月三日より『毎日新聞』朝刊で作家の荻原浩さんの「極小農園日記」の連載がスタートしました。これに意を強くして再度「家庭菜園」について書くことにしました。

 我が農園は「極小農園」の「極」が取れた「小農園」程度の畑ですが、ただ今は、秋ナス、里芋、人参、大根、白菜、カブ、ジャガイモの七種類の野菜が植わっています。今回は「カブ」についてのお話です。

 春先に植えつけたジャガイモを収穫した後、畑が空いておりましたが、夏はお寺の檀務で忙しく、空いた畑を眺めつつもなかなか手が出ませんでした。

でも八月の末になると、夏の行事も一段落で、やっと畑仕事に割く時間もでき、「よーしやるぞ!」と先ず手をつけたのはジャガイモの後の一画です。まだ真夏のような暑さですが、もうすぐ九月だし、大好きなカブを作ろうと、畑の準備をし、カブの種を蒔きました。

指南書には「種は一センチ間隔で蒔くこと」と書いてありますが、その通りにするには意外と骨が折れまして、つい気を抜くとミシン目のように種が並びます。そうなると今度は間引きのときに、気が遠くなるほどの苦労が待っているのを経験済みですから、我慢をしながら種を蒔きました。

後日、元気な目が出てきましたが、本葉が出始める頃、なんだか元気がありません。よく見ると、てんとう虫のような虫がかなりいます。ネットで調べてみますと、どうも「キスジノミハムシ」という害虫のようです。

何とか持ちそうな苗もありましたが、全体的には哀れな感じで、まともな収穫は望めそうにありません。残念ですが、失敗作として取り除き、種蒔きからやり直すことにしました。

既にお彼岸も過ぎた頃です。今度は虫が来ないようにと寒冷紗をかけましたが、どの位効果があるかを見るために寒冷紗無しの畝も作りました。

子葉から本葉に移り、本葉が大きくなる頃、根元に白いカブも見え始めました。寒冷紗有りの畝と無しの畝とではどんな違いがあるのだろうかと秘かに期待をしていましたが、ほとんど差がなく、共に立派に育ちました。

これは何を意味するのでしょうか。寒冷紗は不要だったという訳ですが、では何がよかったのでしょうか。恐らく、種蒔きの「時期」でありましょう。

我が小農園のある萩市では、カブの種蒔きは彼岸を過ぎた頃がよいということなのでしょう。朝晩が涼しくなった頃、害虫も減ってきたに違いありません。その土地にあった時期に種蒔きをする。このことが如何に重要なことかをしっかり学んだ経験でした。 (平成二十年十一月)

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