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なるほど法話 海 潮 音
自然 第15話 家庭菜園(1)
明日はお彼岸の入りというのに真夏を思わせる暑さです。「暑さ寒さも彼岸まで」は昔の言葉になりました。しかし今夏の暑さのお陰で、わが菜園のトマトは豊作でした。
山手の方々からは猿が出没して悔しい思いをする話をよく聞きますが、市内ではカラスがやりたい放題なのに閉口しています。トマトも普通に作ろうと思ってもカラスに差し上げるようなもので話になりません。ですから、私は園芸支柱を使って骨組みを作り、カラスよけの網を張って、その中で栽培します。
ついでに、スイカの苗も三本おまけに網の中に植えてみました。トマトは順調に実がなるのに、スイカは花は咲いても一向に実がなりません。
変だなと思い考え込みましたら、網の中にはカラスも入れないが、蝶々も入ってこれないんだと気がつきました。
でもトマトはどんどん実がなりました。やっぱりスイカはだめなんだと諦めてそのまま放置しておきましたら、つるだけはとても勢いがよく、網の中を踏む場所に困るほど伸びました。
とうとう網をつたってスイカのつるだらけになろうとするころ、網に絡み付いているつるにスイカがなりました。どうも外から蝶々が受粉してくれたようです。
なるほどと思いながら、家庭菜園の本をぺらぺらめくっていますと、スイカには雄花と雌花があって基本的には人工授粉するのだそうで、受粉日をしっかりチェックしておいて、四〇日くらいたったら収穫の適期なのだそうです。
今回はすべて網の外からの自然受粉で、七、八個のスイカを残しましたが、いずれも高さが三〇センチ以上というお化けのようなスイカになりました。これも異常な暑さのお陰なのでしょうか。供養の日のご本尊様のお供えにさせていただきました。
ただ今は、秋まき野菜の準備で大忙しです。大根や人参の他に、昨年は白菜とキャベツに挑戦してみました。しかし青虫とヨトウムシにやられて穴だらけの上に、台所でご本人がお出ましくださるので、家内がいやがり、使いものになりませんでした。
農薬を使えば家庭菜園の意味が半減するような気がしますので、寒冷紗のトンネルを掛けることにしました。結構お金がかかり、そのたびに「道楽」という言葉がちらつきます。
畑仕事をしていて気が付くのは、病害虫との戦いだということです。これは自然とどう向き合うかということでもあり、生き方そのものとも関わってくるでしょう。
撲滅する態度か、金をかけて完全遮断か、それとも自然と上手く付き合う態度か、第三の態度には色々のやり方があるでしょう。研究の余地ありといえましょう。(平成二十年十月)
音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。