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なるほど法話 海 潮 音      


生活 第 7 話  結婚式のプレゼント    

先般、あるお檀家さんの結婚式が当山の本堂で仏式にて行われました。新婚旅行も無事終わり、新郎新婦そろって挨拶に来られました。まあ一通りの挨拶を交わして、特に新婦に次のようなことを申し上げました。

それは、ご結婚なさったのだから、あなたは○○家の一員です。これからは○○家の一員として○○家のご先祖様のお世話を宜しくお願いいたします、というような内容でした。新郎のご両親としては、嫁にもらった早々、自分の家の先祖を大事にしてくれというのは、少し気後れすることかも知れません。住職が式師をしたのですから何の抵抗もなく言えました。お陰でご両親から感謝されたという次第です。仏前結婚式ですからこのような展開にもなったのですが、一般的にはなかなか難しいことかと思います。

ところで、現代は仕事などの関係で核家族が一般化しています。そうすると田舎の親の家には仏壇が有るが、都会で暮らす若い夫婦の家には仏壇が無いという場合がほとんどです。法事があるときは田舎に帰るので別に問題はないと思われるかも知れませんが、仏壇は法事のためだけにあるのではありません。生まれてくる赤ん坊が、物心がつく前から仏壇に向かって手を合わせるという習慣が身に付くところが仏壇です。それによって他を敬う日本人の心ができるのだと思います。理屈ではありません。

昔は大家族でしたから、生まれてくる赤ん坊の家には必ず仏壇がありました。そして母親が毎日仏壇に向かって手を合わせる生活の中で、子供も自然に手を合わせる習慣が身につき問題はなかったのですが、核家族の今の若い夫婦の家には仏壇が有りません。そうすると、生まれてくる子供には宗教的世界は皆無です。せめて仏壇くらいは日常的に無ければなりません。それによって日本人の心が育つからです。

そこで提案です。小さい仏壇でいいのです。結婚のお祝いにご両親から若い夫婦へ仏壇をプレゼントして下さい。結婚のときがチャンスです。宜しくお願いいたします。(平成11年8月)


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