なるほど法話 海 潮 音
生活 第43話 年の始めに思うこと
私たちが住む地球は金星と火星の間に在って太陽を回っています。その金星も火星もそれらの大気はほとんどが二酸化炭素なんだそうです。それなのに地球の大気には二酸化炭素は〇・〇三九%だといわれています。 実は地球も五億年前の大気は金星や火星と同じようにほとんどが二酸化炭素だったようです。それが〇・〇三九%というごくわずかの量に減ったのはなぜでしょうか。 それはサンゴのお蔭によるところが大きかったようです。サンゴはサンゴ虫と骨格とからなり、サンゴ虫は海水に溶けたカルシウムと二酸化炭素を吸収し石灰質の骨格を作ります。 この骨格の集まりがサンゴ礁です。このサンゴ礁がやがて石灰岩に変わり、石灰地層が形成されました。サンゴは気体である二酸化炭素を石灰岩という岩石に変え、大気中の二酸化炭素の濃度を激減させてくれたのです。 勿論、大気中の二酸化炭素の濃度を下げるはたらきはサンゴだけではありません。海中の藻場を形成するコンブなどの海藻類や陸地の森林なども大いにはたらいてくれています。 そうして命を育む絶妙なバランスを持った「命の大気」(窒素七八・〇八四%、酸素二〇・九四七%、アルゴン〇・九三四%、二酸化炭素〇・〇三九%)(一九七五年時点)を作ってくれたのです。 これを今、私たち人類は自分たちの快適な生活を最優先させて、石炭や石油など化石燃料をどんどん掘り出し、どんどん燃やしています。そのために大気中の二酸化炭素は増え続ける一方です。 人類が化石燃料を燃やし始めたのは産業革命の時代、特に一八世紀後半、英国で蒸気機関車が発明された頃とされています。 実は産業革命以前の二酸化炭素の濃度は二八〇ppmとされています。これは〇・〇二八%のことですから、自然界が作ってくれた本当に絶妙な「命の大気」は、二酸化炭素の濃度でいえば、〇・〇二八%(二八〇ppm)のはずですが、一九七五年時点で、既に〇・〇一一%も増えています。私たち人類はこの絶妙な「命の大気」を今現在、台無しにしつつあるのです。 それは温暖化現象として、すべて自分たちに降り掛かってきています。米国で起こった山火事しかり、世界各地で報道される異常気象(台風の巨大化・洪水・砂漠化)しかりです。 何とかしなければいけません。二酸化炭素の排出を減らすことです。そのためには快適追求一辺倒の生活を見直すことしかありません。 洗濯物は乾燥機から天日干しへ、エアコンは暖房一度下げ、冷房一度上げ、車は近距離には使わない等、色々考えられましょう。私自身、耳が痛い限りです。(平成三十一年一月) |