なるほど法話 海 潮 音
生活 第33話 大根の葉
大根の旬を迎えました。もっともスーパーに並ぶ野菜だけを見ていますと野菜の旬が分からなくなりますが、家庭菜園をしていますと自分の作る野菜についてはいやでも旬が分かります。 十月初めに蒔いた大根の種は、いわゆる「大根」の部分はまだ「小根」といった感じですが、葉の部分は立派な大根の葉に育っています。 直径4pくらいの園芸杭を逆さに押して作った種まき穴に三粒ぐらい蒔いて、出た芽が大きくなり、本葉が15〜20p位で間引きしますが、この間引いた葉が、実は私にとっては根の部分よりも大切なのです。 間引きは基本的には一回きりですので、わざわざ二、三週間ずらして二度種まきをするくらいです。 この間引いた柔らかい大根の葉をよく水洗いし、塩で一夜漬けしていただきます。大げさに言えば、私の家庭菜園の目的はここにあるとも言えるくらいです。 合わせて家内に豆腐と一緒に煮てもらっていただきます。これもまたおつで、胃の中があらわれる思いでいただきます。 スーパーでも勿論、大根を売っていますが、葉の部分は切り落とされています。調べてみますと、大根は根の部分にはジアスターゼという分解酵素は多く含まれているそうですが、これといって特記するような栄養素はない反面、葉の部分にはほうれん草に勝る栄養素があるよです。 たとえば、ビタミンCが約5.5倍、鉄分は約1.5倍、カルシウムは約5.3倍だそうで、ビタミンAもほぼ同等にあるようです。 そう言えば、私が子供の頃、終戦間もない頃ですが、お寺で鶏を飼っていました。 畑から取ってきた大根は、根の部分を人間様が食べ、葉の部分は細かく刻んでぬかと混ぜ鶏にやっていたのを思い出します。 食料の十分でない頃、分かってか分からずか、卵を獲得するために、栄養のほとんどない根の部分を人間様が食べ、栄養豊富な葉の部分を鶏様に与えていたことになりましょう。 今インターネットで「大根の葉」で検索しますと、大根の葉の食べ方を勧めるレシピが山ほど書いてあります。 今は個人が鶏を飼う時代ではありませんので、大根の葉はほとんど捨てられ焼却されているのでしょうか。もったいないから食べましょうとネットで紹介する好材料ではありましょうが、どれだけの人が実践しているか分かりません。 しかし、自分で作れば、葉がまだ柔らかいうちに収穫でき、漬けても煮ても、これに勝るものはないという思いでいただけます。 自由になる畑がなければ仕方ありませんが、もし畑に出来る土地さえあれば、是非、家庭菜園がおすすめです。やってみてください。(平成二十五年十二月) |