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生活 第31話  私の家庭菜園

 私は家庭菜園をしていますが、今夏の暑さは異常と言うほかなく、午後の空いた時間に畑に出ようと思っても、そんなに畑仕事をしているわけではありませんのでこの暑さに勝てる訳でもなく、朝の涼しい時分は朝課(本堂はじめ諸堂での朝のお勤め)があり、夕方もそれなりの雑用のため、畑に出れる時間はほんの少ししかありません。それでも畑仕事をしようというのは何故なのか。少し考えてみることにしました。

 私が畑をするのは畑があるからではありますが、勿論したいからするのです。

私の農業の先生は、まだ会ったこともない山下一穂という人で、高知県で無農薬有機農業を実践し、農業塾の塾長もしておられる人です。

私は農業経営を目指している訳ではありませんが、山下さんは勿論経営を目指しているわけで、「労力はコスト」という考えを持たれ、栽培技術の一つとして農業機械を如何に合理的に使うかということも常に念頭に置かれているようです。

私が以前興味を持った人に福岡正信という人がいました。この人は自然農法を実践した人(愛媛県で米の収穫率第二位の実績の持ち主)で、稲と麦の二毛作を得意とされていたようです。

全く徹底されていて、畑を耕さないという人です。人間が農機具で耕すと、せっかくミミズがふわふわの畑を作ってくれているのにそのミミズを殺してしまうからだというのです。

この人は草取りも一切しません。麦を刈る前に特殊な方法で稲の種を麦畑一面に蒔いておき、その後で、脱穀した麦の穂をそのまま畑に戻して、今度は稲作に転じるやり方です。厚く敷き詰められた麦の穂があるため、稲は顔を出しても、雑草は生えないのだそうです。

観念的には面白いのですが、私には実践は無理です。今面白がっているのは山下流の農機具を合理的に使うやり方です。有機農法ですから肥料は堆肥です。EM菌を使った堆肥も自作しましたが、少し面倒なので、今は高知県からEM菌堆肥を購入しています。今夏はソルゴーというサトウキビに似た直物を栽培しましたので、これを使って秋に畑自体で堆肥を作ることに挑戦することにしています。そのためにはソルゴーという植物を粉砕する機具が必要ですので購入の予定です。

 私は子供の頃から機械いじりが好きでした。大人になっても何か遊びが必要でしょう。大人になると「遊び」とは言わずに「趣味」と言っているようですが。ともあれ、私の場合、畑で機械(農機具)を使って遊んでいるに過ぎないというのが「私の家庭菜園」の中身のようです。(平成二十五年九月)