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なるほど法話 海 潮 音      


生活 第 3 話  国際化時代の旬    

ご承知のように、日本は北半球にあります。そして、赤道と北極の中間あたりに位置していますから、四季がはっきりしていて、大変めぐまれています。

食べ物にしても、春には、竹の子・ふき・わらびなど色々な山菜が楽しめます。夏には、なす・キユ−リ・かぼちゃ・トマト・キャベツなど野菜がいっぱいです。秋から冬にかけては、さつまいも・白菜・人参・玉ねぎ・大根などのほかに松茸をはじめとする色々なきのこが楽しめます。

それぞれの季節を知らせる食べ物を旬といいますが、色々な旬を楽しめる日本は天国だと言えるでしょう。ところが、今の日本は何でも経済優先で、野菜も商品価値を上げるためにビニ−ルハウスで年間栽培されています。ス−パ−に行けば、キユ−リやトマトがいつでも並んでいますので、今の子供はそれらが本来いつごろできる野菜なのかを知らないとよく言われます。

なんともこまった話しだと思っていましたら、テレビでニュ−ジ−ランドのニュ−スを見て考えこんでしまいました。ニュ−ジ−ランドという国は日本と反対の南半球にありまして、気候もよく似ているようです。でも、日本が夏のときは向こうは冬で、秋のときは春というように、季節がちょうど反対です。そのニュ−ジ−ランドで日本向け高級野菜の栽培を始めたというニュ−スでした。日本原産の「みょうが」だとか、特に「わさび」の栽培を大規模に始めたということです。

ニュ−ジ−ランドでは、日本からいえば季節外れのものが、ビニ−ルハウスではなくて、大自然のもとで大威張りで作れることになります。それを日本に運べば、日本には旬は無くなることになりましょう。地球規模でなされる国際化には、旬という感覚まで無くしてしまう力があるようです。なんともいやな感じです。(平成2年12月)


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