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なるほど法話 海 潮 音      


人生 第 3 話  阪神大震災    

1月17日午前5時46分、神戸市を中心に襲った大地震は、死者4936人、行方不明者175人(22日)という想像を絶する大震災となりました。

この震災を伝えるテレビの画面に何度も出てきた、あの、高速道路に宙ぶらりんになったバスの映像。バスの運転手はどんな思いだったか、考えただけでもぞっとしますが、その運転手の証言が新聞に載りました。

「(ブレ−キを踏んで)やっと止まったと思うと、眼前の路面がガガ−という大音響とともに崩れ、反対車線を走っていた白の乗用車が滑り台を落ちるように道路とともに一瞬に落下するのが見えた。自分も落ちたと思ったが、バスの前部が少しはみ出しただけで止まってくれた。…同僚に(乗客を)後部の非常口から降ろすように言い、私はバスが落ちないようにサイドブレ−キを引いて、ブレ−キを踏んでいた。乗客が降りたのを確認してから…歩いて一キロあまり戻って非常階段から地面に降りた後、じわじわと恐怖感がわいて来た」(1月23日『毎日新聞』)。

又、前日の同紙に掲載された細野徳治氏の「論説ノ−ト」にも、「惨状をテレビで見ていて…人々はあくまで冷静に、しかも落ち着いて行動しているように見えた。人々のゆったりとした関西弁の口調が、極限状態の緊張感を和らげていたようにも思う。…パニックは起きず…むしろ救援が遅れたために、地元の人々が自力で助け合う場面が目立ったという。…安否を気遣う親類や知人に対して…「元気だから心配しないで」と呼び掛け、周囲への心配りすら見せていた。何という精神的ゆとりだろう。…他国の(我を忘れて泣き叫び、取り乱す被災者の姿)と比べて日本での被災者の対応が、あまりにも違うことに、戸惑いと驚きを隠せないようにみえる。阪神大震災は、どうやら「日本人論」にも一石を投じたようだ」と。

今回の被災者の態度が、わが身にも当てはまるかどうか。地震国に住む者としてよくよく心しておきたいと思う。(平成7年2月)


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