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なるほど法話 海 潮 音      


人生 第 2 話  あるアメリカ女性の話    

先日、山口県徳佐・船方農場の理事長さんと同席する機会がありました。船方農場というのはなかなかユニ−クな農場だそうで、経営よりも都会の人々に田舎を提供することを第一に考えているそうです。

色々お話を伺っている内に、その農場で働いているアメリカの若い女性の話になりました。あるとき、三十名くらいの校長先生の団体研修会がその農場であったとき、その若いアメリカ女性に話をさせてみようということになったそうです。

その時の彼女の話というのがなかなか面白いのです。彼女いわく、私が日本に来て感心したことは、日本の子供たちは小学校にあがるや最初の日から友達同士になり、家に帰るとお母さんに何々ちゃんの所へ遊びに行ってくると言うと、その友達の家が2キロ近く離れていても、お母さんはにこやかに行ってらっしゃいと手を振る。親と子が本当に信頼し合っているし、日本の治安も良いからでしょう。

こんな日本が好きだから私はきっと日本で結婚するでしょう。でも子供が中学校に入る頃にはアメリカに帰ろうと思う。なぜなら、子供が中学生くらいになると、日本の母親は急に目がつり上がり、勉強々々の世界に突入するからだと言うのです。これは日本のいじめや登校拒否の根本原因が何処にあるかを教えてくれているような話ではありませんか。

龍谷大学教授で仏教カウンセリングの研究と実践を長年続けておられる西光義敞氏も、同氏の著書の中で、「子供が登校拒否をしたとき、どうしても行かせようとしたり、その理由を問いつめたり、学校が悪いからだと決めつけて改善を要求したりすることは、第一の解決策にはならないでしょう。そうではなくて、子供への敬意と信頼の情をこめて子供の心を聞いてやり、その感情を理解してやることこそ大切です。子供の心を無視し、ある行動を強制することは、子供を人形にすることに外なりません」(取意)と述べておられます。 (平成8年6月)


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