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なるほど法話 海 潮 音      


人生 第11話  還 暦    

 夏の行事がすべて終わった8月30日、坊さん仲間で湯本温泉のホテルに集まり、暑かった夏に別れを告げる飲み会がありました。

坊さん仲間といえば、通常は仕事仲間ですが、このたびはそうではなく、県内の宗門寺院で今年還暦を迎える昭和22年生まれ(団塊世代のトップバッターたち)が集まった飲み会です。

集まるべき該当者は県内に14、5名いるようでしたが、その内9名が集まりました。6割です。まあまあでしょう。

飲み会での話題は別段これといったものはなく、通常のとりとめのない雑談でしたが、一次会の後、ホテルの外は大自然ですから出るわけにもいかず、ホテル内のカラオケスタジオなるものに入り、昔懐かしい歌を声がかれるまで歌いまくりました。

そんな二次会がわって廊下に出るとあたりは真っ暗で、みんな寝静まった別世界でした。

普通、坊さん仲間の集まりは老僧から若い者まで色々ですから、席順や言葉遣いに気を使いますが、同い年の坊さんが一堂に集まる経験は初めてでした。なかなか楽しいものでした。

 世間では還暦は定年の年でもあります。団塊世代の定年は数の多さから「2007年問題」ともいわれ、社会問題化してもいるようです。

われわれ坊さんは基本的に定年はありませんので枠外ですが、自分も還暦を迎えたとなると気になるところではあります。

たまたまテレビを見ていましたら、NHKのトーク番組で玉村豊男さんが出ていました。われわれより二つ年上の方です。

20数年前に東京を離れて信州で田舎暮らしを始められ、定年を迎える団塊世代に田舎暮らし希望者が結構多いのだそうで、そういった人たちにアドバイスもしておられるようです。

番組では、「田舎暮らしができる人 できない人」というテーマについての会話もあり、玉村さんは、田舎暮らしにあった人というのは、自分で何かができる人、たとえば音楽で言えば、へたでも自分で楽器を弾ける人であり、自分では弾かないけれども一流の演奏家たちの演奏会に聞きにいくのが好きだという人は田舎暮らしは向かないといっておられました。

田舎は自分流の生き方のできる所であり、都会は大衆の一人として生きる所だという指摘でしょう。なかなか鋭い指摘だと感心しました。

 大衆の一人としての生き方に飽きた都会の団塊世代の方々、是非田舎暮らしを検討してみて下さい。

玉村さんには話題に出てきた「田舎暮らし…」と同名の本年出版の著書(集英社新書)もあります。まだまだ若い還暦定年者が、高齢化で苦しむ地方を救うことにもなりましょう。 (平成19年10月)

音声読み上げ機能については、日本アイ・ビー・エムの「ボイスらんど」のページ(http://www.ibm.com/jp/voiceland/)をご覧ください。